Story/fragment
その1.鳥・レイ
「あ。お帰りなさい、レイ。
わぁ、食べ応えありそうな大きさね。その鳥」
「あぁ」
今日のご飯はどうしよう?なんて考えてたら、何だか気のない返事。
「・・・レイ?どうしたの??」
「いや、ね。ずっと気になってたんだが・・・、お前が鳥食ったら共ぐ」
「違うから」
って、何を言い出すかと思ったらそこなの!?
もしかして体調悪いとか、怪我したのかとかちょっと心配したのに。もぉ・・・。
それに今までだって結構食べてたのに、だいぶ今更だと思うんだけどな。
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作者コメ
一発ネタ。この会話だけ書きたかったんです。
本当は会話だけでも良かったんでしょうけども個人的に書きにくいのでこの形で。
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その2.成長と・3兄弟(レイ視点)
「はい、じゃあ今日のご飯はイノシシの丸焼きです。
狩ってくれた兄ちゃんと、糧になってくれたイノシシに感謝しつつ頂きましょう。いただきます!」
「「いただきますっ!!」」
我先にと肉にかぶりつくチビ共を横目に俺も負けじと手を伸ばす。
食わねぇと俺だってもたねぇしな。それにしても・・・
「ん?」
「いや、何でもねぇ」
「??変なの」
ちらり、視線を向けた俺を訝しげながらはナイフを使って肉を切り分ける。
ナイフ使いは俺から見ても綺麗だと思う。言うならば姫さんのソレだ。
同時に、昔は切り分ける事すら出来無かった事を思い出す。
本当に何でも出来るようになったと、僅かながらに感心した。
「昔は“これはどうするの?”とかすぐに聞いてたってのにな。
今じゃ料理もお手の物ってか?」
「あはは。もう血抜きもバッチリ出来るよ」
一応、皮肉混じりに言ってみたんだがね・・・本当に敵わねぇと実感する。
自分でやると決めたら一直線だ。誰かに頼ろうともしねぇ。
「ったく、もう少し・・・・」
ごく自然と言葉が出かかって、飲み込んだ。
「え、なぁに??」
不思議そうなの顔。
「いや、何でもねぇよ」
“もう少し俺を頼っても良いんじゃねぇか”とか、まるでガキみてぇな言葉。
んな事言えるか。胸中で呟くと、ただ肩を竦めた。
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作者コメ
兄ちゃんにニマニマしたくて此処まで書いてみたがうっかり失敗。
もっとギャグチックに書きたかったのに難しいですねぇ。
いつかリベンジしたいです。
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その3.鏡の前で・レイ
「うー・・・」
鏡の前で思わず唸る。手には櫛。
映った髪はあらぬ方向に跳ねていて、ただため息しかでない。
「どうかしたのか?」
「んー・・さっきから髪が纏まらないんだよね。
今日は雨だから仕方ないと言えば仕方ないんだけど。
でもこの髪は流石に・・・はぁー」
「別に気にしなくたって良いんじゃねぇの?そんくらい」
「む」
鏡の端に映るレイの姿。呆れたみたいな顔が見えた。
「全然良くないんだからっ!
もぉ、レイって乙女心を分かってくれないよね」
「へいへい。そりゃ悪かったな」
「別に悪くはないけど・・・」
ちょっと気にしてくれたら嬉しい。余りにも無頓着だから。
だって、こんな風にこだわってるのは少しでも綺麗でいたいから。
貴方の隣に並んでもおかしくないように・・・・。
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作者コメ
乙女ちっく全開!ただ、あの家に鏡があるかは不明ですが・・・。
しかしウインディアの人(歴代ニーナ)って全員クセッ毛ですよね。
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その4.もしも・レイ
「もしも・・・」
「あ?」
急な私の言葉。それにレイが首を捻る。
「“もしも”って考えた事、無い?」
「さぁな」
「私は昔からよく考えてたの。もし黒い翼じゃなかったら。
もしもっと強い種族なら。王女に生まれなかったら・・・・とかね」
「なるほどな。で、そうしたら面白い未来でも待ってそうなのかい?」
レイは肩を竦める。それに私は首を横に振った。
「昔はそれで何かあるかもって期待してた。
でも、最近は今のままで良かったなぁって思ってるけど」
「へえ?」
「だって・・飛翼族で、黒い翼で、王女だったからレイに会えたんだもの。
きっとひとつでも欠けてたら今、私は此処にいないと思う」
ニッコリと笑えば少しだけ嬉しそうなレイの顔。
「ま、そりゃそうだろうな。
そうでもなきゃ、と出会う事なんてなかったろうさ」
「でしょう?でもね・・・・」
続ける言葉。
「最近は、泥棒さんじゃなかったらーとは思うよ」
「・・・なるほど。愉快だねぇ」
呆れたレイの声。それに私はくすくす笑う。
でも、だからこそティーポとも出会えたし一概に悪いとは思えない私もいるのだけど。
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作者コメ
“もしも”は作者が個人的に好きな言葉なので何か書きたくて・・・・。
だけど結局中途半端になってしまったという罠です。話が広がらない。
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