鳥篭の夢

Story/幼子と世界を想う



本当に子供達だけに世界を委ねても良かったのかしら・・・

今更ながら疑問が残る。
やはりあの子達だけにするのはまだ早いんじゃないかしら?
もしもこのまま世界が破滅に進んだら?
姉さんは“私達が何とかすれば良い”と言うけれど、それが間に合わなかったら?
あぁ・・やはり未だ私が何とかしなければいけないんじゃないだろうか。
あの子達を送り出してからも今尚思い悩む。

これ以上力のある竜族が増える事はないから。と、の要求を飲んだ。
あの2人を見守る事が出来れば、あの2人が何事も起こさずに生を全うする事が出来れば・・・。
きっともう世界を破滅させるかもしれないと竜族に頭を悩ませる事は無いかもしれない。そう考えた。
だからこそ精一杯に私を説得しようとしたに・・幼子にあの竜族を任せる事にしたのだ。
ただ家族を愛し、信じて、そして慈しむ心を持って生きてきたあの子に・・・・。
確かに姉さんの言葉もあった・・・・それでも竜族の子供達に自由を与える路を選んだのは私。

でも・・本当はどうなってしまうんだろう?


私は・・あの時、如何すれば良かったのか
如何する事が世界にとって最善だったのか



『私なんかの事、信じていただいて本当にありがとうございました』


思い出す、あの柔らかい笑み。
本当に嬉しそうに笑ってくれたの姿。
その直前に“力が暴走しそうなら弟達の生命を奪う”と言ったとは思えない程の・・・。
愛しい生命が私に微笑んでくれた。

強い意志を宿した青紫色の瞳、ただ切に家族だけを想う言葉───もしかしたら私は、彼女の覚悟に負けたのかもしれない。
私が世界と子供達を愛し慈しんできたように、彼女もまた家族にそう接してきたのだから・・・。

そう・・・だからこそ、私は信じてみようと思ったのだ。
幼い幼い子供達が自分で立ち上がり、ゆっくりと歩き出そうとするのを見守ってみようと・・・。
そうしてもしも間違えそうになったら・・その時は教えてやれば良いと・・・。


きっとそれが・・本当に子供達を生かすという事なのでしょう?───賢樹。


空の見えない空間。
それでも賢樹に届くようにと、私は祈った。



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