鳥篭の夢

Story/おはよう



「ほらっ!レイ、もう朝ご飯出来てるってば!」
「んぁー・・」

声をかけると、薄く瞳を開けて寝ぼけた青い瞳が私を見る。
まだ目が覚めてないみたい。
そのまま無理やり毛布を剥いだら、眩しそうに瞳を細めて・・・ごろん。
あーぁ、寝返っちゃった。
半分夢の中にいるみたいで起きたくないって尻尾が主張しててちょっと可愛い。

「リュウもティーポももう食べ終わっちゃってるんだよ?」
「んー・・・」
「冷めちゃうし」
「んー」

どんどん返事でもない声になっていく。流石に眠い時のレイを起こすのは無理かな?
旅をしてた時は何だかんだで気を張ってたからかすぐに起きてくれてたけど・・本当はすっごい寝起き悪いもんね。
まぁ別段用事があるっていう訳でもないし良いんだけど。でも思わずため息。

「んな顔してんじゃねぇよ」
「へ?きゃっ!!」

ぐい。
少し掠れた声がしたと思ったら、急に腕を掴まれてベッドに引きずり込まれた。
寝起きだからか力加減出来てないみたい。
勢い良くレイの上に乗っかっちゃって・・・ご、ごめん。
慌ててどこうとしたけどそのまま抱きすくめられて身体が動かせない。
あの、えっと。レイ?くつくつと笑う声が聞こえてきて───

「あ・・まさか起きてたの?!」
「今目が覚めたんだよ。誰かさんがうるせぇからな」
「む。そんな事ないんだから」

誰かさんが起きない方が悪いと思うけど?
レイの上に乗っかったまま、その頬を緩く抓る。それとも起こす方が悪いのかしら?
でも、もう“ゆっくり”っていう時間はとっくに過ぎてると思うんだけどな。

「・・・なぁ、さっきから俺で遊んでねぇか?
「そう?そんなつもりはないんだけど」

むにむに。何度も何度もレイの頬をつまむ。
案外面白いんだよね・・・って、良く考えたらこれが遊んでる状態か。

「ま。確かに朝飯食わねぇってのは惜しいし、そろそろ起きるとするかな」

そっと腕を退かされて、レイはそのまま起き上がる。
ようやっとお目覚めみたいで一安心。
でもまぁ、もしかしたらご飯は冷めちゃってるかもしれないんだけど。

「あ、レイ!」

階下へ降りていくレイを引き止めて、私を見てくれたのを確認して笑う。

「おはよう」
「あぁ」

挨拶じゃない返事。
だけどまぁそれも何時もの事だから。
レイらしくて良いのかなぁ、なんて。



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