鳥篭の夢

Story/fragment02



その1.家族の絆・ニーナ


さん、そのペンダントってもしかして・・・」
「ん?うん、そう。ずっと気づかなかったよね。ニーナは」

そう言ってくすくすと自然と笑いが零れた。大切な宝物。
肌身離さず身につけていたのに、ニーナは怪しむそぶりすらも見せなかった。

「あはは、でもさん。
これが本当の家族の肖像画なんですよね」
「そうだよ。私にとって唯一家族を繋ぐ、ニーナとの血の繋がりを示す証」

まだこの頃は今ほど黒い翼ではなかったし、母様に抱かれているニーナは本当に幼い赤子。
見る人が見ればきっと何も分からないと思う。でも・・・。

「あのっ、さん、また見せてくださいね!
・・・お姉様の小さな頃のお姿なんて見られないですし」

お姉様と呼ぶ時にニーナは少しだけ辺りを見渡して・・私を気遣ってくれたんだと思う。優しい子。

「勿論、何時でも言ってね」
「はいっ!ありがとうございます!!」

ああ、本当に何て可愛いんだろうと心から思う。
私の可愛い可愛い妹。

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作者コメ
そういえばロケットペンダントにニーナが気付いてないじゃないか!というお話。
何時だって妹にめろめろなお姉様です。
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その2.堂々と・ニーナ(ニーナ視点)


さんっ!!お久しぶりです!」
「あ、ニーナ。おめでとう」

嬉しそうな笑顔と心から祝う言葉に、わたしも自然と笑顔になる。

「はいっ!ありがとうございますっ!!」
「ごめんね、折角の婚姻式なのに見に行けなくて・・・」
「いえ、今のウインディアじゃ仕方ないですよ。残念ですけど。
でも代わりにわたしがこうやって会いに行きますから!」

力強く言えば安心したようにまた笑顔。
さんは本当に綺麗。

「そうしてくれたら嬉しいな。
あ、でも国を治める者がそう簡単に城を出たらまずくない?」
「大丈夫です!ちゃんとタイミングを見計らって行きますから!!」
「なるほど」

くすくす。お互いに悪戯っ子みたいに笑う。
周りから見たら仲良し姉妹にでも見えるのかしら?なんてこっそり思って・・・

「あ」
「え?」

急に声を上げたわたしにさんが首を捻る。

「そうよ!さんはリュウのお姉様なんだもの!
もうさんの事お姉様って呼んでも変じゃないんだわ!!」

ぐぐ。強く拳を握りしめた。
どうして今まで気づかなかったのかしら?
これからはさんを“お姉様”って堂々と呼んでも周りから変に思われない筈!
正面から・・・言うのよ、ニーナ!これはチャンスなんだから。

「あ、あの・・・」
「ん?」
「お・・・」

いざ!ってなると言葉が出ない。照れ臭い感情。
でもこの機会を逃したら二度と言えなくなっちゃいそうだし・・・・

「お・・・お茶!美味しいです、ね」

って、わたし何言ってるんだろう?
さんがくすくす笑って、見つめる。わたしより深い色の瞳。

「ありがとう、ニーナ。
ふふ。本当に貴女は可愛い妹なんだから」

全てお見通しですか・・・・ですよね。あははは。

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作者コメ
書いていく内にニーナが暴走して違う方向へ突き進んだ上にオチが無い話。
本当は将来ウインディアに根付いた黒翼差別を無くしたいという内容が・・・何故こうなったのか。
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その3.突然の来訪者・モモとペコロス


「お久しぶりねー、
「ぷきゅう」
「モモ?それに、ペコロスも!」

まさかの来訪者。
本当に久しぶりで、でも嬉しい。

「どうしたの?急に」

こんな田舎、何も無いのに。
首を捻ったらモモがペコロスの頭をぽんって軽く叩く。

「最近ペコロスの事を調べてるんだけど、この子って賢樹と関係あるでしょう?
ペレット所長は賢樹を伐ってきて使ったって言ってたしー」
「確かに。ミリア様の所でも賢樹として喋ってたしね」
「でしょーう!」

私の言葉にモモは嬉しそうに笑うと自分の手を合わせた。

「でも、それでどうして?」
「そう!それでね、此処に賢樹があるって聞いたから来てみたのよー」

賢樹の・・・・あ、もしかしてアレかな?
言われてみればあったとは思う。だけどそれは───

「切株だよ?」
「全然構わないわよー。
そっちの方がペコロスに関係ありそうだしー」
「確かにそうかも」

嬉しそうなモモの笑顔。だけど、その前に・・・

「少しうちで休憩して行ったら?お茶でも煎れるよ」
「あら、本当~?じゃあ頂こうかしらー。
のお茶、久しぶりだから楽しみだわー。ねぇペコロス」
「ぷききゅ」
「あはは、ありがとう!」

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作者コメ
モモとペコロスは旅が終わった後も一緒にいるイメージがあります。
研究大好きなモモは相変わらずで、変わらない彼女が良いなぁと考えつつ。
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その4.過ぎし時・ガーランド(子供登場)


「時が経つのは早いものだな。
まさかが親になるとは・・・」
「ふふ、そうですか?あぁ、でもそうかも。
ガーランドさんは長生きだから特にそう感じるのかもしれませんね」
「ふむ」

口の端に小さく笑み。
でも思い返してみれば本当にそう。時が経つのは早い。
旅をして、皆を探して、色んな事がありながら女神に会って・・・今はもう遠い思い出。

「あぅー!」
「わっ!?だ、ダメだってば!
かぁさん、みぃがあぶないー!!」
「あ!ほら、ミイナおいで」
「あ~ぅ!ぶぅーっ!」

ガーランドさんにしがみ付いて離れないミイナの姿。
そんなにお気に入り?

「ガーランドさん、すみません。ミイナがご迷惑を・・・」
「いや、大丈夫だ」
「でも本当にガーランドさんに懐いてますね」

べったりな姿は母として嬉しいやら淋しいやら。

「・・・・懐いているのか?これは」

遊具扱いでは無いのかと続いた言葉に思わず笑う。
ガーランドさんが遊具・・・かぁ。確かに身体が大きいからちょっと楽しいかも。
そんな事を考えて、でも余りに失礼だからすぐ頭から消す。

「勿論ですよ。ミイナは怖い人には近づきませんし。
きっとガーランドさんが優しい方だって分かるんですね」
「そうか」

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作者コメ
ガーランドさんは遊具になりそうなサイズですよね!と思いつつ。
しかも小さい子供は潰しそうだからとかで抵抗出来なさそうです。ほのぼの万歳。
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