鳥篭の夢

まざる



真っ暗。ただ目の前にいっぱいの闇。
此処、何処だろ?よくわかんない。

“キュ”

あたしの声。
あぁ、そうだった。アタシに戻ってきたんだよね。
こんなに長く離れるなんて思わなかったけど。

“キュウ”

そうだね、毎日が楽しかったもん。もっともっとあのままでも良かった位。
だってマミとフォウルのいる時間はのんびり気持ち良くて、でも本当にキラキラしてた。
アタシはその場にいなかったけど、今はあたしと一緒だから全部分かるよ。

もっと一緒に“普通”を楽しみたかった。

ガーディアンなのに、あたしがそう思ってたのも知ってる。
だって傷が癒えて帝都に行ったらマミには会えなくなっちゃうから。
あんな優しいフォウルの顔を、穏やかな空気を感じられないから。
犬とかペット扱いされても。ガーディアンなのにガーディアンなのを忘れる位に幸福だった。

ずっとずっと昔、遠い昔。
リュウに会う為に眠る前みたいに。

“キューゥ”

あははは。だぁいじょーぶだよ!
ちゃんとフォウルの命は忘れてないし。むしろ思い出したもん。
だから安心して任せて!

ね、アタシに戻ったからあたしにも分かるよね?
アタシも沢山のヒトに会ったよ。優しいヒトや酷いヒトがいるのも一緒。
でも全部には絶望しないよ。アタシだって元々ヒトだったし。
どれだけ年月がたってもヒトって変わらないなぁって思ったし。
フォウルが・・・・少し、心配だけど。

“・・・・・・ゥー?”

それはわかんない。
でも、まだ申し訳ないって思わなくても大丈夫だよ。
きっとフォウルなら平気。そう信じないとね!
あれだけツライ目にあって最期まで堪えたんだもん・・・・・・そうじゃなくちゃ、嫌だ。


──あのね、お疲れ様!
後はアタシがあたしの分まで気合い入れて頑張るから!
絶対にマミの無事を確認して、フォウルの元にリュウを連れてく!
だから・・・だから安心して。
今は、ゆっくりおやすみなさい。

“キュ・・・”

遠くなる声。
アタシの意識も遠くなる感じ。混ざって、交ざって、ひとつになる。

これが──ひとつになるって事。
あたしでもあるしアタシでもある感覚。



じゃあリュウとフォウルだとどうなっちゃうんだろ?
あんなにも長い間離れてた二人。その呼び合う半身が揃ったら──?



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