しょくりょうちょうたつ
「ねぇ、サイアス!これって食べれるかな?」
白に赤い液体が滲んでるキノコ。赤いトコとか甘そうじゃない?
訊いてみればサイアスは何度も何度も首を横に振った。・・・・・・・そんなに?
「・・・毒、が・・・・・・ある」
「そっかぁ。むむ、食料探すのって難しいね」
残念。でもキノコの見分けなんて全然わかんないよ。
アタシも狩りグループが良かったな。じゃんけん負けちゃったし、仕方ないけどさぁ。
「大丈夫ですよ、。さっきは果物を沢山採ってきてくれたじゃないですか!
あっという間に木に登れて・・・あ、勿論サイアスさんが上手に受けとってくれたっていうのもあるんですけど。
でも2人共本当に凄いですよ!!」
「ホント!?」
「はい、勿論です」
何時もの可愛い笑顔。アタシの好きな顔。
それで本当に嘘じゃないって・・・ぁ、ニーナは嘘つかないけど。
慰める言葉でもないって分かって、だから凄く嬉しい。
えへへ、勝手に顔が笑顔になっちゃう。
「ふふ、やっぱりは笑顔の方が素敵ですね」
「ぇ?」
な、なになに?急に。
「私、の笑顔を見ていると元気になれるんです。
何時も頑張っている姿も、真っ直ぐ前を見つめて進んでいく姿も、何時も力を貰ってるんですよ」
“が笑ってると元気になれるんだ”
ふと呼び起こされた、どこか遠い遠い記録。
霞んで、掠れて、ほとんど消えかけた記憶。その何処かで聞いたような気がする。
そのヒトはニーナみたいに笑ってたっけ?そこまでは思い出せない。
「私、に出逢えて本当に良かった」
まるで日だまりみたいな暖かい笑顔と言葉。
ぽかぽか胸が温かくなって広がっていくのが気持ちいい。
えへへ、嬉しいなぁ。アタシはガーディアンなのにそう言ってくれる。
そんなの関係ないって想いが、言葉にしなくても分かる。
「ありがと!アタシもニーナに会えて良かった」
ニーナがリュウの傍にいてくれて良かった。
きっとニーナがいてくれて、皆がいてくれて、そうしたらきっとリュウはヒトには絶望しない。
フォウルも、もしかしたら・・・。
「そう思いますよね?サイアスさん」
「・・・・・っ!!?」
あ、珍しい。サイアスのビックリした顔だ。
少しだけ恥ずかしそうにして、だけどサイアスは頷いてくれて・・・変なの。何だかドキドキしてる。
胸の辺りがきゅうって苦しくなる感じがあるのに、全然嫌じゃなくて。不思議。
「ありがと、サイアス!」
言えば、サイアスは僅かに笑ってくれて。
それでまた嬉しい気持ちでいっぱいになって、だから笑顔で突撃した。