鳥篭の夢

弱点探し



「鎌太刀さんの弱点って何だろう?」
「・・・・え、それ本人を目の前にして言う事?」

唐突なちよちゃんの言葉に思わずツッコミ。
明日の小テストに勉強教えてるのにそんな事言われたら流石に悲しくなるよ?本気で。
半眼になって見せればちよちゃんは慌てたように両手を横に振る。

「あ。いや、悪気がある訳じゃないんだ!
ただ何でも出来るイメージがあるから・・苦手な物はあるのかと思って」

いや、そりゃ色々ありますけど。

「あー・・は頭良いよな。懇親会で生徒代表の挨拶してなかったっけ?」
「主席じゃないか!!?」
「それはちよちゃんも一緒だし」

勉強すれば出来るよ。ちゃんと勉強をすれば、ね。
てゆかレン君。そんな人の情報をぺらぺら喋るのは如何だろうか?

ちゃん。教えてくれるの・・上手、だよね・・」
「ふん。まぁ、的確だし。分かりにくくは無いな」

そりゃあ、どうもですが。

「後はー・・走るの早いよな、確か泳ぐのも得意なんだろ?」
「それはアタシが鎌鼬の先祖返りだからだと思うよ」

鼬は泳ぐの得意だし。鎌鼬は元々その特性から早いし。

「それには料理も出来るのよ。美味しいんだから」
「って、野ばらちゃんまで・・・」

唐突に来てそんな情報を出さなくても良いじゃない。

「だったら部屋が片付けられないという事は?」
「え?んー・・・それは無いかな。スイッチ入るまで時間掛かるけど」

だって、あんまり部屋が汚れてるのって嫌でしょ?
これでも簡単な掃除とかは毎日してるし。

「やっぱり、ちゃん・・弱点無い?」
「いやいや。流石にソレはないってば」
「でも文武両道だろ?」

カルタちゃんまでそんな可愛らしく首傾げられても困る。
卍里君の追撃も痛い。変な美化をかけるのは止めていただきたいんだけど。

「あのねぇ。主席の事は、その後ゲームばっかりしてたら成績真ん中位まで落ちたし。
誰だって勉強すれば成績上がるでしょ?たまたま、偶然、主席入学しちゃっただけだって」
「えー。でも今だって成績上だろ?」
「だから勉強してるんだってば」

えぇい、話を聞け。そこのモメン。

「運動だって個人競技なら良いけど集団競技はちょっと苦手だし。
料理も出来るには出来るけど自分用に作ったらすっごい薄味になるし。
カレーとか本格中華とかするとアタシ食べられないし」
の味覚は繊細だものね。そういえば暑いのも苦手だったかしら?」
「そそ。だからこれでも案外苦手なものとか多いんだよ」

結構色々ある訳よ、アタシだって。

「さて。それよりも早く勉強に戻りなさいな、後輩達よ。
アタシはそろそろゲームしたくなってきましたよ」
「「「はーい」」」



ん?
急に呼ばれてレン君へ見れば珍しく・・と言うのは失礼だけど、真面目な顔。

「何?」
「俺にも勉強教えてくれよ。授業中つい寝ちまってさぁー」

“眠くなんだよなぁ”なんて最後はだらっと机に突っ伏して。
んー、でも別に断る理由なんてないし、まぁ良いか。

「良いよ。分からないトコ言ってくれたら」
「おう。じゃあ教科書持って来るわー」

いそいそとラウンジから去っていくレン君の後姿を見送ってから伸びを1つ。
たまにはこんな日も良いか。アタシも復習になるから。



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