鳥篭の夢

青年期/女神の閑居01



あれから数日。
ニーナが漸く目覚めて体力も準備も万全に整えたのを確認して、私達は先へ進む事にした。
オアシスの村長さんにお礼を言って、その巨大な遺跡“古の都”を目指して歩く。

「砂漠を越えたらもうそんなに暑く無いわねー」
「流石にあの暑さが続いたら、神様に会う所じゃない気がするけどね?」
「確かにの言う通りかもー」

くすくすとモモと私で笑う。
そんな他愛ない話が出来る位になったんだから本当に元気になったんだって思う。
砂漠ではあんなにバテてたのにね・・・って、倒れた私が言える台詞じゃないけど。

「それにしても・・・・でっかいわねぇー!」
「うん、古の都なんて名前が付く位だから」

背伸びしながら遠くを見るモモの言葉にリュウが頷いた。
まだ到着と言うには少し距離があるけど・・・でも確かに此処から見ても、その遺跡の巨大さは良く分かった。

「機械が沢山あると良いね、モモ」
「ホントね~!今から凄い楽しみ~~!!」

持っているバズーカを振り回さん勢いでモモが嬉しそうに笑う。
ドラグニールも砂漠もオアシスにも機械が無かったから。
もうそろそろ機械が弄りたくて仕方ないんだって全身でアピールする姿に思わず私も笑みが零れる。

「別に構わねぇけど、あんま機械に感けてっと置いてくぜ?」
「あ~!レイ、ひっどぉ~い!!」
「まぁまぁ、今回の目的はリュウが神様に会う事だから・・ね?モモさん」
「そうだけどー・・少しなら良いでしょう?
「って、どうしてソレを私に訊くのかな?」
「ぷきゅ?」

それでも“少し位は”って目線が訴える。
まぁ結局、古の都には沢山の機械があってそれを駆使しないと進めなかったんだけど。
どちらにせよモモの機械知識が必要になったし、結果としてモモも機械を扱う事が出来たってご機嫌だった。

1箇所だけどうしても進めない場所があって、扉に鍵みたいなモノが施されてるみたいなんだけどやっぱり鍵穴は無い。
コントロールルームで云々って機械が言ってたのを思い出してその場所まで行って、モモが機械を弄ると機械から解除したって声。
それにしても“高空ステーション・ミリア行き”とか言ってたけど・・・確かミリアってリュウの探してる神様と同じ名前だよね?
少なからず神様とこの場所には関係があるって考えて間違いないのかな?もしかしたら本当に此処にいるとか・・・。
モモが機械で扉を開けてくれて私達は先へと進む。
と、外に出たと思ったら何処からともなく“ぽぉん”って音が響いた。

『アテンション・・ステーション・ミリア行きは1番ホームで待機中・・・』

「・・・ね、さっきから言ってる“ミリア”って神様の名前よね?」
「うん、多分ね。だから一応神様に近づけてるんだとは思うけど・・・」
「ま、行けば分かるって感じかね?」

悩むニーナと私にレイが軽く肩を竦める。
それから1番ホームだろう場所に何だか四角い床に柵みたいな持ち手のついてる機械。
モモが言うには“きっとコレで移動するのよー”との事で、とにかく考えてても始まらないと乗ってみる事にした。
流石に全員が乗るにはちょっと狭いけど我慢。
ガーランドさん身体が大きいからなぁ。まぁ、落ち込むから言わないけど。


───ビーッ・・ビーッ・・・


けたたましい音が鳴り響いて思わず耳を塞ぐ。
何か間違ったんだろうかと思ってたら“発車します”っていう声。
ガタガタって乗っている機械が大きく動いて上へと向かって行く。
一応乗り物・・だったんだね、上に行く為の手段なのかな?

「ちょ・・ちょっとだけ驚いたかも・・」
「・・・俺も。急に動き出すから・・・」
「あはは、・・・確かに」

一度ため息をつくニーナに私もリュウも同感だと笑う。
でも・・こんな風に人を運ぶ機械もあるなんて本当に驚いた。
私達には全然理解でも出来ないような技術。
それでも、やっぱり機械は凄い文明なんだろうという事は分かる。

「うふふー、わくわくするわねぇー」
「ふむ・・・そ、そうか」

1人だけ酷く嬉しそうにするモモにガーランドさんが困ったような声音で返して・・・うん、本当にモモはマイペースだなぁ。

空へと続く大掛かりな機械。
それは私達を神様と同じ名前の場所へ続く・・・・。
・・・・・流石に少し緊張してきたかもしれない。
でも・・きっと大丈夫、無事に神様に会えるよね?



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