鳥篭の夢

青年期/もうヒトリの06



「・・・という事で、ティーポも一緒でも良いかな?」

さっきの話し合いの事を簡単に説明すると、皆で一度顔を合わせて頷いてくれた。

「勿論ですよ、さん!!
だってさんとリュウがずっと探してた子でしょう?」
「“子”って・・多分ニーナと同い年位の筈だけどね?」
「あ・・そうでしたね。
昔はそう言ってたから、つい・・・」

それにニーナが少しだけ恥かしそうに笑う。
そのはにかむ表情が可愛いなぁ・・なんて。

「でも良かったわね~、リュウ。
あんなに泣きながら探してたんだから見つかって一安心でしょー?」
「モ、モモさんっ!それは小さい頃の話だから・・・っ!!」
「やっぱり泣いてたんだ。ホント、リュウは泣き虫だなー」
「ティーポっ!!だからそれは・・っ!!」

あわあわと慌てるようなリュウの仕草に皆で笑う。
ティーポも・・まるで今までずっと一緒にいたみたいに自然体で。
嬉しいなぁ、こうやって皆がティーポを受け入れてくれた事も。
ティーポもきっと、これから皆と馴染んでいく事も。
そんな光景が本当に嬉しくて、幸せで。ああ、胸の辺りにじわりとあたたかさが滲む。


「・・・そういえば、ティーポは神の御言葉を受け入れたのだと言ったな。
ならば神に見える方法を知っているのか?」
「あ、そうだよ!!」

リュウが声を上げる。私も再会に気をとられてスッカリ忘れていた・・そうだよね。
神様に説得されたんだから最低でも一度は会って話をしている筈。
だったらその居場所も・・・・?
ティーポへと視線を向けると、一度頷いてポケットからカード型の鍵を取り出した。

「これがミリア様のいらっしゃる場所へ続く鍵になってるんだ。
でも途中、ちょっと面倒な場所を抜けないといけないけど・・・」
「何だ?面倒な場所って」
「うん・・と、ちょっと危険なモンスター達を暴れないように押さえつけてる場所・・って言うのかな。
俺とリュウがいればもし戦闘になっても大丈夫だとは思うけど・・・」
「なるほど、でもその言い方だと普段は襲ってきたりしないんでしょう?」
「それは俺だけだったからだよ、姉ちゃん。
流石に竜族に喧嘩売る程あいつ等だってバカじゃない」

つまり・・竜族ほど強くも無い種族が集まってる場合は喧嘩を売られる可能性もある・・と。

「じゃあその時は返り討ちにすれば良いって事よね?」
「・・・ニーナ。まぁ、俺もそれは間違いじゃないと思うけど」
「思考が物騒になってるよ?ニーナ。
それはいざと言う時だけね」
「はい!分かってます、さん」

私の言葉に笑みを向ける。
確かに戦闘が多かったから仕方ないけど・・ウインディアに帰ってもその考え方なのは困るかも。
でも自ら進んで事件を解決しようとする子だもんね。
やっぱり少しだけ心配ではあるなぁ。

「しかし神の御許に行くのだから、のその格好は何とかしなければなるまい」
「あ、やっぱりそうですよね。流石にこのままじゃ・・」

駄目だろうなぁ、全身血塗れの服なんて・・・。
神様に会うのにそんな格好なんて怒られちゃいそうだね。
正直言うとこのままの格好って言うのは私的にも嫌だし・・・でもとにかくティーポの言う“面倒な場所”はこのまま抜ける事にした。
もしまた怪我して着替え・・・なんて嫌だし。
そう言えば“大丈夫、姉ちゃんは俺が守るから!”って頼もしいティーポの言葉。
そんな風に言ってもらって姉ちゃんはとても嬉しいですよ!
いや、流石にもう大きいから抱きつくのは自重したけどね。人目を憚らないのは良くない。

・・・でも、ティーポは鍵を持っててそれが無いと女神に会う事が出来ない・・・か。
つまりそれはティーポがリュウを説得するか、或いはリュウがティーポを倒してでも鍵を手にしないと女神に見えられないという事。

まさか・・ね。
多分、女神の思惑は前者だったんだよね?
そうじゃなきゃティーポを犠牲にする事に・・それは違う筈。



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