第二章/獣‐壱
『キュ・・・?』
痛い。ズキズキする痛みに目が覚めた。身体に何かくっついててキモチワルイ。
良く見たらそれは包帯みたいな布だった。手当て・・・誰が??
痛みで頭が働かない。そっとあたしの頭を撫でる手。でも、主のじゃない。
誰だろう?顔を上げるけどよく見えない。誰だろう?誰だろう?
悪い感じはしない。大きなヒトの時と同じ・・・ううん、もっとあたたかい感じがする。
『・・・・ゥ?』
主は・・・いらっしゃった。すぐ傍で横になっておられた。
体中に怪我がいっぱい。痛そうな傷はあたしと同じで手当てされてる。
苦しそうじゃないから、きっと大丈夫。
「まだ身体を起こしたら危ないべ。
ご主人様も良く寝てるけぇ、お前さんも寝ときな」
『キュ・・・』
柔らかい声。温かい手。チリンって鈴の音が聞こえる。気持ち良い音。とても落ち着く音。
それにあたしはまた身体を丸める。頭をぽてんと置いて、そうしたら瞼が勝手に閉じた。