鳥篭の夢

第一章/04



「うーん・・・凄い罠の数だよね」

ダムから北東にあるキリア村。
そこから真裏のセネスタって町に抜けれるらしいけど、何処を見ても罠だらけ。
抜け道がどうこう言ってる場合じゃないよねぇ。まぁみえみえの罠だから怖くない・・・って──

「クレイ、足元危な・・・・」

───ドォンッ!!

・・・遅かったか。凄い爆発音を耳を塞いでやり過ごす。凄い音と震動だったけど怪我はなさそう。
威嚇用、なのかな?地雷って普通は威力無くても踏んだら足位は吹っ飛んだりするもんだけど。まぁ良いか。
それよりあんな堂々とした罠に直進するなんてクレイってバカなのかな?それとも注意力が散漫?うーん・・・。

「良かったね?クレイ。足と胴体がくっついてて」
「は?・・・あぁ、そうだな」

一瞬クレイは首を傾げて、分かったみたいに頷く。やっぱりクレイでも地雷の怖さは知ってるよね。
笑みを向けてから歩き出す。虎バサミ、落とし穴・・・ごちゃごちゃしてるけど罠自体は隠れてないし分かりやすい。
もうクレイが先頭なのは怖いからアタシとニーナで先を歩いて・・・・なのにさぁ。

「ねぇー。リューウー?如何して落っこちちゃうかなーぁ??」
「だ、大丈夫ですかーぁ!?リュウさーん!!」

落とし穴にまんまとかかったみたいなリュウの姿。下は暗くて見えないけど“先に行ってて”って声がした。
マスターは楽しそうに笑ってて、アタシはクレイとニーナと一度顔を見合わせてからため息。
アタシだって自分の事は頭が足りて無いって思ってるけど・・・流石にこの罠達に引っ掛かるのは恥ずかしいよ。
昔はもっと・・・ん?んー・・まぁそれは置いといて。とにかく言葉通り先に行ってよっかな。

村の人達に村長さんの家の場所を聞いて、家に入れば一羽のオウムの姿。
ニーナが話しかけたらぺらぺらとお喋り開始。
おお!凄いね、鳥類!!人型じゃなくてもお喋りできるんだー、うわー・・・。
しかもアレだね!さり気なくシリトリだよね?じゃあアタシも一緒に・・・・・で?“で”なら、でんでんむし!!

「・・・さっきから何をしてるんだ?ニーナ、
「だってこの子可愛いんだもん。しりとりオウム」
「でも村長さんいませんねぇ」
『ソンチョウ?ソンチョウヤッタラ“ニシノモリ”ニ、オル。ヨウジガアルンヤッタラ、ソッチイキー』

・・・・・・うわぁ、賢い!!人の言葉をちゃんと理解してるんだ、この子。
あ、でもそうだよね?だからさっき一緒にしりとり出来たんだし。アナドレナイなぁ、鳥類も。

「ニシノモリって、西にある森・・で良いんですよね?」
「多分そうだろうな」
「でもオウムさんから村長さんの居場所を聞いちゃうなんて、さん凄いです」
「えへへー・・・って、あれ?
村長さんの話題を出したのってニーナじゃなかったっけ?」
「・・・そうでしたっけ?」
「うふふー。そんな事はどちらでも良いですねー」

ニーナと一緒に首を傾げる。
・・・・まぁ良いか、マスターの言う通りだよね。それより西の森に行かなくちゃ。

「・・・・あぁ、ビックリした。って、あれ?村長さんは??」
「それよりもリュウ!西の森に行こう?」
「そちらに村長さんがいらっしゃるみたいなんですよ」
「え?え?」
「リュウ、1人だけ置いてけぼりですねー」
「マスター・・・」

楽しそうに笑うマスターにリュウが脱力。ねぇねぇ一気に言い過ぎた?別にそんな事無い?大丈夫??
矢継ぎ早に訊いてみたら一生懸命頷く姿。うん、大丈夫そうだね。じゃあ早速西の森に行こう!!


・・・・って所までは良かったんだけどなぁ。
村から西にある森は村長さんが行くだけはあってキリア村と同じ。
やっぱり罠だらけで、何度も何度もクレイとリュウが罠に引っ掛かりながらも先に進んでく・・・んだけど・・

「・・・もぉっ!2人ともいい加減にして!!」
「え?」
「・・スマン」

大声を出せば、檻の中に入ったリュウが目を丸くして、中途半端に掘られた穴に落ちたクレイが謝る。
間抜けな姿。ニーナもマスターも平気なのに如何して男2人がそう簡単に引っ掛かっちゃうかなぁ?

「これが戦場だったら2人とも死んでるよ!!?無害な罠だから無事なだけでっ!!
警戒心が薄い!注意力が足りない!!ホントにこんなんでこれからも大丈夫だと思うの??!」

それにリュウを無事に届けるのは主の命だし。出来なかったら怒られちゃうかも・・・怒られる?呆れられる?
まぁどっちでも良いけど、どっちかの反応はありそう。何となく。
これはアタシの事で悪いけど。でも、だって怒られたくないし。それに今は無害な罠だから良いけど危ないのもあるかもだし。

「・・・リュウもクレイも、もしかしたら大怪我するかもしれないよ?」
。そういうのをツンデレというらしいですよ」
「・・・つんでれ?アタシが?」
「はい。マスターが言うから間違いないですよ」
「・・・・・そう」

良く分からない。けどそっか、アタシつんでれだったのかぁ・・・・って、違うっ!そうじゃないのっ!!

「じゃなくって・・・2人とも気をつけてね?」
「うん、ごめん。
「心配かけたな」

うーん、まぁ分かってくれるなら良いんだけど。ふと見ればくすくす笑うニーナ。
アタシ何か変な事言った?問えば“お優しいんですね”って言葉。
・・・優しい、のかな?何だかちょっと違うような気もする。
アタシが怒られたくないから言ってるんだし・・うん。

それからアタシとマスターで罠を先に潰してから先に進む。罠さえ潰しちゃえば普通の森だもんね。
あー、最初からこうすれば良かったんだ。ホント失敗!!



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