鳥篭の夢

第二章/18



「わぁ・・」

空一面に瞬く星。何だか凄いなぁ・・って、思わずため息。
夜だからかな?ほんの少しだけひんやりした空気が呼吸をする度に入ってきて気持ち良い。

「大丈夫かな?リュウ」

やっぱり心配。思いつめてた顔してたから・・尚更。
・・・・・・ん、心配?フォウル以外は如何でも良い筈なのに心配なのは何で?リュウが半身様だから?
リュウはフォウルの半身様。半身様を護り帝都へお連れするのがアタシの役目。これは思い出せた事。
アタシにとってフォウルとの約束は重要だから思い出せたのは嬉しい。でも、だから心配してるの?
うーん、それは何だかちょっと違う気がする。
・・・・やっぱりリュウだから、なのかな?心配なのは。アタシはリュウっていう存在だから心配してる。
勿論、フォウルも心配ではあるけど。あ、主に対して心配っていうのも変なのかな?ま、良いや。

「うん、でもそっか。大切な友達だから・・・だよね」

リュウが心配だって思うの。フォウルとは別の大切な存在。それで、友達だから。
でも・・・・

「吸収・・かぁ」

これが良く分からない。本当に吸収されるの?
リュウがフォウルになっちゃうの?じゃあリュウは何処にいっちゃうの?全然分かんない。
それにアタシがフォウルに造られた存在なら、じゃあアタシも──?


「ん、あれ・・・?」

あの子達、何してるんだろ?3人集まって何かしてる姿。
でも遠くだから良く見えないや。それよりリュウを探さないとだし・・・・あ、でもこっち向いた。

「「「ガーディアンさまっ!!」」」
「へ?」

凄い勢いで走り寄って来たなぁって思ってたら周りを囲まれちゃった。えっと・・・?
真剣な目がアタシを見る。男の子が2人に女の子が1人。手に持ってるのは・・・ご飯?だよね。

「あのっ!リュウさまが何処にいるか知りませんか?」
「リュウ?知らないけど、場所は分かるよ」

居場所くらいなら・・・だけど。

「本当ですかっ!!」
「あの・・それと、リュウさまってお食事まだですよね?」
「うん、まだ食べてないと思うよ。如何したの?」

そういえば皆は今頃食べてるのかな?用意はしてるみたいだったし。
答えたらちょっとだけ安心したみたいな顔。3人で顔をあわせてちょっとだけ笑って・・あ、可愛いなぁ。
で、それから笑顔のままアタシに向く。

「夕食用意したんですけど・・ご迷惑でしょうか?」
「んー。別にそんな事無いと思うけどな」
「それと、その・・リュウさまが今どちらにいらっしゃるのかが分からなくて・・」

あ、それでアタシを見つけたからかぁ。
この子達が知ってるかどうかは分かんないけど、アタシなら力を辿れるもんね。
ちょっとだけ不安そうな顔。それを安心させたくてそっと頭を撫でてみた。

「大丈夫。アタシなら分かるから一緒に行こう?」

そう言って笑ったら、3人も一気に嬉しそうな顔になった。

「「「はいっ!」」」

綺麗に声が揃って返事。うん。やっぱり笑顔の方が見てて好きだな、アタシ。
それから弾む声でお喋りする声を聞きながら先導して歩く。とっても楽しそうな声。
何を話してるのかは別に聞いてないんだけどね。アタシあんまり集中力無いから辿るのにちょっと邪魔だし。
でも音で楽しそうって分かる。聞いてるだけでアタシも楽しくなっちゃいそうな、そんな声。

リュウの力を辿った先。高い壁の上にリュウはいた。
最初は姿が見えなくて少し探しちゃったけど。足がぶらんってぶら下がってるのが見えて、それで発見。

「リュウ!」
!?ど、如何したの・・!?」
「んっとねぇ、案内して欲しいって頼まれたの」
「え?」

驚いた顔。それから慌てて起き上がる姿に、アタシはニッコリ笑う。
それから3人の方に視線を向けた。ひょこって頭だけちょっと出てるの、可愛いな。
アタシの言葉に不思議そうな顔をして、3人の頭にもっと変な顔。

「リュウさまっ!」
「お食事持ってまいりました」
「夕食、まだ・・ですよね?」

それぞれの言葉にリュウはちょっとだけ呆気に取られて──

「・・・・あ、ありがとう・・・」

何とか出てきたお礼。だけど、それに3人は本当に嬉しそうな顔をした。
それからリュウがご飯を食べてる横で次々に質問攻め。きらきら輝く顔って言うのかな?そんな感じ。
ちょっとだけリュウが慌てて・・・・あはは!リュウ、面白い顔になってるよ!

、見てないで助けてよ!!」
「え?助けるような状況だっけ?」

あらら、失敗したかな?そう思ったら“あ、いや・・違うかも”って言ってくれた。
良かった。何か失敗しちゃったのかと思った。フォウルの時はよく失敗してた気がするから。
・・・ガーディアンなのに失敗ばっかりなのもどうなんだろう?ま、いいや。

「・・・・ぁ。ご、ごめんなさい!!私たち見習いなもので・・・」
「本物の神様を見た事が無くて、つい・・」

アタシ達のやりとりで我に返ったみたいに頭を下げる。可愛かったんだけどなぁ。
それにアタシだって気になる事があったらすぐに訊いちゃうし悪い事じゃないと思う。
ぱくり。用意してくれた晩御飯を食べながら、リュウは質問にひとつひとつ答えていく。
でも、どれも全部さっき聞いた事だけど・・・。

「フォウル様ってどんな方なんですか?」

それにリュウの言葉が詰まる。

「・・・・・ごめん。分かんないや」
「??半身様なのにですか?」

純粋な瞳。それにリュウは少しだけ笑って見せた。

「うん・・・自分の事なのにね」

嘆くでもない笑顔。何かに気付いたみたいな顔。

「リュ・・・」
「では、ガーディアン様は何か知ってますか??」
「ぇ?」

って、もしかして次はアタシ!!??
きらきら輝く瞳。可愛いなぁって思うけど・・・うーん、期待に応えられるかなぁ?



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